トレーニング指導者のためのパフォーマンス測定と評価 #25 最新情報:セット内最大速度を測れば 最大挙上回数(RM)がわかる 挙上速度によるレップ数のコントロール(その2)

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トレーニング指導者のためのパフォーマンス測定と評価 #25 最新情報:セット内最大速度を測れば 最大挙上回数(RM)がわかる 挙上速度によるレップ数のコントロール(その2)

2025/11/27

最新情報:セット内最大速度を測れば 最大挙上回数(RM)がわかる 挙上速度によるレップ数のコントロール(その2)

記事はJATI EXPRESS No.108に掲載のものです。

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前回は、VLCによるレップ数のコントロールにもデメリットが指摘されているところまで説明し た。今回は、そうした問題を踏まえつつ新たに着目されているRIRという指標の再評価と、その客 観化のために挙上速度を利用できるのではないかという新たな研究動向について紹介する。


 

1.  つぶれるまで追い込んではいけない
 最後の力を振り絞ってラスト1レップを挙げきる、あるいは補助についてもらってつぶれるまで頑張る、さらにはつぶれてからも助けてもらって数回繰り返す、という方法でトレーニングすると、そうなる以前にセットをやめるよりも感覚的にはなんとなく強くなりそうな気がするかもしれません。「追い込む」ことが最も大切だと信じている人にとってはその前にやめると自分に負けたような気になるのもよくわかります。
 しかし、従来はトレーニング効果をさらに高めるものと考えられてきた「つぶれるまで追い込む」あるいはフォーストレップにより強制的に反復を継続させるという方法はむしろ、心身にネガティブな影響を及ぼし、オーバートレーニングの原因となり、筋力向上にとっても筋肥大にとってもむしろ逆効果であるという実験結果はすでに数多く公表されており1-7)、メタアナリシスによっても確かめられています8)。
 

2.%1RMに対応した最大反復回数(RM)には大きな個人差がある
 したがって、つぶれるまで追い込むのではなく、その手前で少し余力を残してセットを終了するほうがいいのですが、ではどうすれば最も適切にセットごとのレップ数を決めればよいかということが問題となります。
 そこで従来から考えられてきた方法の1つが、その重さで挙上可能な最大挙上回数(RM)からやや少なめの回数をレップ数として設定するという方法です。例えば90%1RMに対するRMが4レップだとすれば、実際には2レップまたは3 レップで設定する、80%1RMに対するRMが8レップだとすれば実際には6レップで処方するという具合です。
 しかしここで問題となるのは、%1RMに対するRMがそもそも何レップなのかということです。表1は、35年以上昔、私がCSCSの受験のために勉強した書籍9)に示されていたものです。現在でも多くのテキスト10,11)にこのまま掲載されており、これを基にレップ数を決めればよいとする指導者もおられます。しかし昨年、269本の論文、トータル7269名の被検者のデータを基に発表されたメタ分析12)によれば、表1のような数値とは異なり、表2のようになることが示されています。表の一番下の列の数値は95%信頼区間で平均値が95%の確率でこの範囲に入るということを意味します。ベンチプレスとレッグプレスだけは異なる数値になることも示されています。
 これからわかることは、現行の多くのテキストに示されているような%1RMに対応させたRMを基にレップ数を決めるということ自体、大きな個人差と種目差があり、前回も考察したように、RMで一律にレップ数を処方することには大きな問題があるのです。

 

3.ヴェロシティーロス・カットオフ(VLC)の有効性とその限界
 そこで、前回13)取り上げたように、挙上速度を1レップごとに測定することによって、セット内の最大速度からどれだけ低下したかという速度低下率を基準としてセットを終了させるというVLC法が提案され、多くの研究を基にして、従来のRMによるレップ数の設定に対するその優位性が示されてきました。そして多くの現場でその有効性が確かめられています。
 しかし、前回お示ししたように、VLCによるレップ数のコントロールにもデメリットが指摘されています。それは、セットにおける最大速度(通常1-2レップ目に示される)から何パーセント低下したかによってレップ数が決まるため、個人によってその低下率に到達するまでのレップ数が異なるということ、そしてさらに重要なことは、反復を止めた後に残り何回反復可能かは不明であり、その回数も個人よって異なる可能性が大きいので、セットを終えた時点での疲労度にはやはり個人差が生じるという点です。ここまでは前回説明したところです。

 

4.RIRの再評価
RIRとはなにか そこで、こうした問題を踏まえて新たに着目されているのがRIRという指標の再評価と、その客観化のために挙上速度を利用できるのではないかという新たな研究動向です。
 まずRIRとは何かということからおさらいします。RIRというのは、一言で言うと「キツさ」の指標です。Repetition In Reserveの略で、日本語では「残存(あるいは残余)反復回数」と訳されています。あるセットにおいて何レップか挙上した時点でさらに反復を続けたとすると、つぶれるまでにあと何回挙上可能かという主観的判断を示した値です。この値によってそのセットでどれくらい余力があるかを示すことができます。例えばRIR-3はあと3回反復可能、RIR-1はあと1回は反復できるということになります。そしてRIR-0は、それが最後の1レップ、もうそれ以上挙げることはできない状態で、次やるとほぼ間違いなくつぶれることを意味します。このように、セットのその時点での「キツさ」をあと何回挙げられるかによって表現したものがRIRです(図1)。
 

2008年にTuchschererがパワーリフティング選手のためのトレーニング負_荷を体調に応じて適切に設定する方法として1 0 段階の主観的運動強度(RPE-CR10)を基に、そのセットであと何回反復できるかという主観的判断を利用するというコンセプトを提唱した14)のが今日のRIRという考え方の始まりです。これを基に2012年にHackettらがボディビルダーを対象とした研究15)で、セット内にあと何回挙上可能かという主観的予測(RIR)と実際に可能だった回数の関係を調べ、スクワットで r=0.93、ベンチプレスで r=0.95という高い相関が示されたことからRIRには高い信頼性があることが科学的に裏付けられました。
 そして2016年にRIRとRPEとの対応関係がHelmsら16)やZourdosら17)によって明らかにされました。それが本連載でも以前18)に紹介したことのある表3です。
 

トレーニング負荷の大きさをRIRで確認することの妥当性
 ウェイトトレーニングのセットにおける反復挙上動作のコンセントリック局面をその全可動域にわたって決められたフォームで遂行できなくなること、つまり「つぶれる」ことを研究論文でも用いられている専門用語では英語でFailureと言います。カタカタではフェイリヤーまたはフェイリァーに近い発音です。直訳すると失敗とか不成功という意味ですが、このいったん持ち上げようとして挙上不能になった状態のことをうまく表す日本語が見つかりませんので今後はフェイリヤーという用語を用いることにします。
 挙上動作を繰り返すと徐々にフェイリヤーに近づいていきますが、そのフェイリヤーへの近接度合いの違いつまりRIRと神経筋系の疲労レベルや主観的運動強度あるいは苦痛度を調べた研究があります19)。75%1RM強度のベンチプレスを3つの条件で反復しました。条件1) フェイリヤーになるまで、条件2) RIR-1、条件3) RIR-3という3つの条件です。それぞれ5セット行い、挙上速度を指標として神経筋疲労レベルがトレーニング終了4分後、24時間後そして48時間後に調べられました。また、最初のセットから最終セットへの速度低下率も調べられました。さらに主観的運動強度、苦痛度そして筋肉痛に関しても3つの条件の違いが調査されました。その結果、トレーニング終了4分後の挙上速度を指標とした神経筋疲労レベルは、フェイリヤーまで反復した条件では25%の低下だったのに対してRIR-3では13%、RIR-1では8%の低下にとどまりまし_た。そして24時間後ではRIR-3では完全に回復していたのに対して、フェイリヤーとRIR-1では3%の疲労が残っていました。最初のセットから最後の5セット目までの挙上速度の低下率では、フェイリヤーで22%低下したのに対してRIR-1では9%、RIR-3では6%にとどまりました。トレーニング終了時の主観的強度と苦痛度もフェイリヤーが最も高く、次いで1 RIRそして3RIRの順で有意な差が示されました。筋肉痛と主観的な回復度のレベルも24時間後そして48時間後でもフェイリヤーで有意に顕著なレベルが示されました。
 さらに興味深いことに、1セット目のレップ数は当然フェイリヤー条件が最も多く平均14回、RIR-1では13回そしてRIR-3で10回でしたが、セットを追うごとにフェイリヤー条件では一気にレップ数が減少し3セット目以降はRIR-1とRIR-3条件のほうがむしろ多くのレップ数となり、最終的な総レップ数はフェイリヤーが54回、RIR-1が57回、RIR-3が52回とほとんど差がなく、ラスト1レップの余力を残しつぶれる前にセットを終了していたRIR-1条件のほうが多くなるという結果が示されました(図2)。この結果からも、つぶれるまで反復を繰り返すと、セット全体としての総レップ数はほとんど変わらないのに、心身の疲労だけが大きくなることが明らかです。
 

 このように、RIRの値によってセットにおけるレップ数をコントロールすることによって、神経筋系の疲労レベル、心理的な主観的疲労度や苦痛度、そして筋肉痛の残存度合いをコントロールできることから、継続的なウェイトトレーニングに対する選手のアドヒアランスを維持し、最終的なトレーニング量を多く確保するためにもフェイリヤーまで追い込むよりもその少し前にセットを終了させたほうが良いことがわかります。

 

5.RIRと挙上速度との間には直線的な対応関係がある
 このようにRIRを指定することによって、セットにおけるレップ数が選手1人ひとりにとって目的に応じた最適な負荷となるようにコントロールすることが可能となる優れた方法であることは明確です。しかし、RIR値はあくまで主観による判断に委ねられるという限界があることも確かです。したがってより客観的にRIR値を知る方法がないか検討されてきた結果、最近になってRIRと挙上速度との間に直線的な対応関係があり、それを利用することで挙上速度からRIRをより客観的に予測できるという研究が相次いで発表されてきています。
 このRIRと挙上速度の直線的な対応関係の研究のきっかけとなった論文はオンライン版で2017年に発表されたNoran-Navarroらによるもの20)で、ベンチプレス、スクワット、プロ―ンベンチプル、ショルダープレスの65、75、85%1RMで、2~8-RIRの間でRIRとそれらの挙上速度との対応関係が確かめられました。その結果、用いた負荷の重量には関係なく、またトレーニング経験にも依存せずに種目ごとにRIRと挙上速度の関係が一定となることが示されました。また、これを48時間隔てて行った結果でも高い信頼性が確認されました。
 その後の研究でも、スミスマシーンのベンチプレス21)とプロ―ンベンチプル22)、およびフリーウェイトのバックスクワット23)でRIRと挙上速度の間に直線的な対応関係のあることが確認され、決定係数(R²)で判断される回帰式への適合度では被験者全員のデータで求めたものよりも、個人によるものほうが明らかに強い関係が示されました。さらにこの個人におけるRIR-挙上速度関係は、60-90%1RMの範囲であれば負荷の大きさに関係なく一定であることがわかりました。 このRIR-挙上速度関係を確かめるためには、次のような手続きを取ります。

 

RIR-速度関係の調べ方
 60~90%1RMの任意の重さを用いて最大速度を発揮するように意識しながらレップ数をカウントしてきます。そして挙上動作を反復しレップごとのコンセントリック局面の挙上速度を計測していきます。レップ間のポーズが2秒以上にならないように注意しながら連続的に挙上し何回反復できたかを求めます。例えば11回反復できたとすると、1回目を挙げた時点であと10回できたことになりますから、この1レップ目のRIRは10となり、最後のRIRはそれ以上挙げることができませんでしたから0になります。これを表にしたものが図3の左上の表です。1レップ目、すなわちRIR-10が0.65m/sで、その後0.51m/s、0.45m/sと遅くなっていき、最後の11レップ目すなわちRIR-0が0.15m/sだったことがわかります。
 これをExcelでグラフにしたのが図3の右上のグラフです。このグラフには一次回帰直線が当てはめられています。決定係数R²が0.93ですから、この回帰式によってRIRと挙上速度の関係が93% の確率で予測できることがわかります。
 この回帰式をもとにRIR-0からRIR-10までの速度をTREND関数を用いて計算しなおしたものが図3の左下の表です。最初にRIRの列に0~10の数値を入れておきます。右側の速度を表示したいこの時点ではまだ空白の列の全体 (B16:B26)を選択しておき、そこに先のRIRと速度の関係から求められた回帰式を用いて計算された速度を表示させます。そのためには、=TREND(既知のX軸の値、既知のY軸の値、求めたい新しいY軸の値)という式を指定します。この例では、RIR-0の横のセルに次のように入力します。=TREND(A2:A12,B2:B12,A16:A26)すると、速度の列に回帰式から計算した各RIRに対応した速度の予測値が表示されます。この対応関係を基に作成したグラフが右下のものです。
 

 このように、RIRと挙上速度の間の直線的な対応関係がわかれば、それを基に従来のRMによるトレーニング強度と量(レップ数)の設定をより個人ごとの特性やコンディションに合わせて調整することができます。例えば8RMの負荷をRIR-2で行いたい場合、RIR-7の速度0.47m/sに対応する重さのウェイトをウォームアップで見つけ、それを使ってセットを開始し、RIR-2に対応する速度0.22m/sになった時点でそのセットを終了すると、8RMで6レップ行い、あと2回の余力を残してセットを終えることができます。

 

6.もっと簡単にする方法:セット内の最大速度がわかればフェイリヤーまで何回できるか(RM)が予測できる
 以上のことから、挙上速度を測ることによって、個人に適したRMで強度すなわち挙上するべき重さを設定し、なおかつRIRに対応した速度を指定することで、心身の疲労レベルをコントロールしてセットを終了できる可能性のあることがわかります。
 しかし個人のRIRと挙上速度の間にこうした安定的な直線的関係が存在するのであれば、挙上速度を測ることでもっと容易にセット内のRMを予測できるのではないかと考えることができます。そこで考案されたのが、セット内に発揮された最大速度からそのセットでフェイリヤーまでに挙上可能な最大回数つまりRMを予測するという方法です。1レップ目または2レップ目に示される最大速度がわかった時点でフェイリヤーまでにあと何回反復できるかがわかれば、どこでそのセットを終了するかも簡単に判断できることになります。またその速度を参考にしてRMによって強度と量を同時に処方できることになります。 
このアイデアについて検証された研究はこれまで6本24-29)あり、それらを対象としたシステマティック・レビューも2025年に発表されています30)。それらをまとめると、次のようになります。
・スミスマシーンのベンチプレス、スクワット、プロ―ンベンチプル、フリーウェイトのバックスクワット、プロ―ンベンチプルにおいて、
・アスリートを含む20~30名の男女が、・1RMの60~90%による5~10分のレストでの2~4セットにおいて、
・1レップごとに速度フィードバックを受けながら最大速度を意識しつつフェイリヤーまで反復すると、
・そのセットで示された最大速度とフェイリヤーになる1レップ前(すなわちRIR-0)の反復回数すなわちRMとの間に直線的な対応関係が示され、
・被験者全体のデータではR2=0.49~0.84であったが、個人を対象とすると、R2=0.94~0.98という高い決定係数によって直線回帰することが示され、
・別の日(42~72時間後)にその回帰式を用いることにより、最大速度からフェイリヤーまでの回数すなわちRMが予測可能であった
・ただし、トレーニング経験が乏しい被験者やセット間の休息時間が短いと予測の正確性は低くなるということも示された。また、3~4種類の異なる重さのセットで行ったほうが予測の正確性が高くなり、2種類だけだと精度が低くなった。

 

7.セット内最大速度によるフェイリヤーまでの挙上回数(RM)の予測方法
 以上の研究で用いられた方法を基に、実際のトレーニングにおいてセット内の最大速度からRMをリアルタイムで予測する方法について以下に説明します。
 まず、十分なウォームアップ後、60~90%1RM程度のウェイトから3つか4つの負荷を選んで速度フィードバックを受けながら最大速度での反復を行いフェイリヤーまで繰り返し正しく挙上できた回数(RM)を記録します。セット間には十分な5~10分間の休息を取ります。図4の左上の表には4つの異なる負荷(60、70,80、90%)で行った例が示してあります。
 

 このデータを基に、セット内最大速度とRMの関係をプロットしたのが下のグラフです。この例で示された一次回帰式には決定係数R²=0.99という高い適合度が示されています。この回帰式を基にして、セット内最大速度からRM値を予測するための表が1~15RMについて作成してあります。RM1~15に対応する最大速度の列全体を選択しておき、R M - 1の隣のセルに=TREND (B3:B6,C3:C6,G3:G17)と入力してエンターを押すと、最大速度の列に各RMに対応した速度が表示されます。
 ひとたびこの表を作成することができれば、1RMの60~90%を用いたセットであれば、常にセット内の最大速度からあと何レップ挙上可能かがリアルタイムで予測できることになります。
 例えば、1レップ目に最大速度が0.73m/sと示されたならばそれが9RMに対応していますからフェイリヤーまでにあと8レップ挙上できるだろうと予測できるわけです。そしてRIRを2にしたいのであればあと6レップ続けた時点でセットを終えればよいことになります。
 この表から逆に、トレーニングしたいRMの重さを速度から見つけることもできます。例えば、6RMでトレーニングしたければ、ウォームアップで0.67m/sとなる重さを探して行えばよいことになります。 

 

まとめ
 ウェイトトレーニングの強度と量の設定は、長い間、1RMのパーセンテージもしくはRM値によって行われてきましたが、それらの方法の持つ様々な問題点や限界が、挙上速度を測ることによって解決されることが近年の多くの研究と実践によって示されてきています。
 その根底にあるのは、筋肉活動によって生じるウェイトの挙上速度が、筋力発揮によって生み出される加速度によって決まるという力学的法則と筋力発揮の生理学的法則の関係にあると考えられます。
 今回紹介したセット内のRIRやフェイリヤーまでの反復回数すなわちRMも、一定の質量を持つウェイトに対する最大努力での連続的な挙上動作の反復よって、神経筋系が疲労し、発揮可能な力が直線的に低下していくという生理学的なメカニズと速度との間に直線的な対応関係があるためであると思われます。それによって主観的に感じ_られていた力発揮の低下とそれに随伴する速度の低下が客観的な速度によってより明確になるのだと考えられます。
 先に説明したセット全体にわたるRIRと挙上速度の対応関係も、後から説明したセット内最大速度とフェイリヤーまでの回数(RM)の関係も同じメカニズムを背景としていると言えますが、より簡単な後者を用いることにより、これまで以上により客観的に個人ごとのRM値を処方したり、セット内のRIRを指定したりすることができるようになると思われます。
 最初は複雑で面倒だと思われるかもしれませんし、データを取るには何回かフェイリヤーまでの反復を実施する必要があります。常にフェイリヤーまで追い込むことは本稿でも述べたように有効とは言えませんが、自分の限界にチャレンジしてみること自体まったく価値がないわけではありません。信頼性と妥当性が確かめられているVBTデバイスをお持ちの方はぜひ一度ご自分の手で試していただければと思います。
ただし注意していただきたいのは、今回紹介した内容は、最大挙上重量を向上させるトレーニングや筋肥大を狙ったトレーニングに対しては有効ですが、素早く大きな力を発揮する能力の向上を目的としたジャンプやクイックリフトを用いたトレーニングでは、無駄な疲労を引き起こさずに、最大の速度で素早くより大きな力を発揮することを繰り返すことが求められますから、5〜10%の速度低下によるヴェロシティ—ロス・カットオフのほうが有効だと思われます。

 

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